今月の干し柿ニュースのテーマは「水分活性<前編>」です!
食べ物が腐るメカニズム
食べ物が腐る原因は何でしょうか?それは、ずばり微生物の増殖です。そして、その微生物が増殖するには「栄養素」「適温」「適量の水」の3つの存在が不可欠です。
その中でも「適量の水」を一定以下にすることで微生物の動きを阻止し、食材の腐敗を防ぐ方法が「乾燥」になります。水分が足りないから、微生物は増殖を止め食べ物の腐敗を食い止められるんですね。
しかし、水分量が同じ、もしくは水分量が多いのに腐敗しにくい食品もあります。例えば、塩漬け(塩蔵法)/砂糖漬け(糖蔵法)にされているものがそれに当てはまります。これらの食品は微生物が繁殖しづらく、長く保存することが可能です。
上記の食品は水分が十分に残っているのに微生物が増殖しないのはなぜでしょうか?
それは、微生物が利用できる水分が一定以下になっているからです。
乾燥法,塩蔵法,糖蔵法はいずれも,微生物が利用できる水分を除去(または制御)して食品を保存する方法ですが,乾燥法が「水分量そのもの」を減らす方法であるのに対し、塩蔵法と糖蔵法は水分量はそのままに保ちながら「微生物が利用できる水の量」を減らす方法になります。
自由水と結合水
食品の中にある水は、「自由水」と「結合水」に分けられます。
「自由水」とは分子が動き回ることができる水のことで、0℃で凍結したり、100℃付近で気化したりすることができます。微生物はこの「自由水」を利用して繁殖します。
一方で「結合水」は、分子が自由に動き回ることができない水です。分子が食品中の他の成分と結びついているため、0℃でも凍結せず、高温でも気化し辛い水になっています。微生物は、この水を利用して繁殖することはできません。
同じ水分量の水であっても、「自由水」「結合水」の割合で微生物が繁殖しやすいかどうかが左右されます。食品に食塩や砂糖を少し加えると腐敗しづらくなるのは、食塩や砂糖が「自由水」と結びついて「結合水」となり、微生物が利用できる水分が減ってしまうためです。
<後編>では自由水の割合を図る指標としての「水分活性」についてご紹介します!